Stories No.28
日本で働いていたときのはなし。
新卒で大手整体サロンに入社したときのこと。
100人を超える同期とともに、私の社会人生活がスタートしました。
入社当時はもちろんのこと、研修漬けの毎日です。
私は同じグループだった同期と励まし合いながら、厳しい研修を乗り越えて、それぞれの配属先へ整体師としてデビューすることを今か今かと待ち望んでいました。
しかし、想像以上に研修内容は辛く、厳しいもので、辛さに耐えきれずに辞めていく同期もちらほら…
私も身体がキツイときは、同期に愚痴をこぼすようになっていました。
半ば同期同士で、愚痴の言い合いになっている最中、同じグループに一切愚痴を言わない同期がいました。
彼女は同期の中でもトップクラスで、優秀だった同期のみが参加できる研修などにも参加していたりしました。
私はというと、同期のランキングでも半分以下の存在。
やる気もどんどん失っていて、いつ辞めてもいいと思うようになっていました。
しかし、ある時その同期の彼女が口にしたことに、私は大きな衝撃を受けることになります。
そこから私の価値観が変わりました。彼女の言葉は今でも忘れません…
“私たちはお金をもらいながら技術を学べているんだよ”
一切、それまで私の中ではそんな発想はなかったので、理解するのに時間がかかりました。
しかし、その言葉にはとてつもなく大きな意味があることに気付かされます。
私は、目の前の辛い現状だけにフォーカスしすぎて、何を目標としているのか?どうしてこの職についたのか?目的を忘れてしまっていました。
人のせい、環境のせいにして、言い訳と愚痴を並べるだけの生活を自ら送っていたのです。
その同期の言葉をきっかけに私の中で大きく何かが変わり始めたのは確かです。
そこから、私はひたすら目の前のことを一生懸命がんばって、同期の指名数ランキングでもベスト10に入ることができるようになっていました。
月日は流れ、お互い同じ時期に店長になりました。
そんな彼女は、休みの日に東京からはるばる茨城県のつくばの店舗に、施術を受けに来てくれたことがありました。
本当に嬉しかった。
ミュージカルが大好きだった彼女。
不思議で優しい世界観を持つ彼女は、荒んだ私の心に魔法をかけてくれました。
彼女は本当にそのような不思議な力を持っていたのかもしれません。
私もお客さんの心と身体に魔法をかけるかのような、元気になれる施術をしていきたいと強く思います。
Tot ziens!