Stories No.35
日本で働いていたときのはなし。
店長として地元茨城の整体サロンで働いていたときのこと。
平日のお昼すぎ、お客様数名が来店され、その日は穏やかに時間が流れていました。
私は休憩の時間になり、スタッフルームで着替えをしようとしていたところでした。
突然、怒りと混乱と興奮を交えたような大きな叫び声とともにひとりの中年男性がお店を訪れます。

一体この背中の痛みは何なんだ?すげー痛ーんだよ。
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店内に緊張が走ります…
私はすぐに男性に駆け寄り、どうしましたか?
ちょっと背中を診せてください。
数ヶ所触ると同時にさすり、とりあえず男性を落ち着かせます。
男性をさする私の手も膝も緊張で震えていましたが、男性は落ち着きを取り戻してくれました。

このあと時間はありますか?
よろしければ私に身体を診させて頂いてもよろしいですか?
と声をかけ、施術ベッドに男性を案内しました。

男性はまだ興奮していましたが、何も言わずに私と一緒にベッドに
来てくださいました。
特に会話もなく、背中を中心に身体をほぐしました。
施術が終わり、帰り際に
ありがとう、すごく楽になった
と言ってくれて、男性は颯爽と帰っていきました。
それから何度か、サロンに来て下さり、色んなお話をしてくれるようになりました。
そして私はあることに気が付きます。
彼は話をするたびに、いつも胸のあたりを触るクセがありました。そんな彼は以前に胃がんを患ったことを話してくれます。
(書籍 : 感情地図 参照)
臓器にもそれぞれ感情を持っていることがわかります。
心と体はつながっていることを改めて理解できますよね。
人は誰にでも性格があるように、身体にも何かしらのクセを持っています。
それは別に悪いことでもなんでもなく、その人の個性そのものです。

クセを悪いことだと考えて、むりやり変えようとすると、その反動でまたその変えた同じ勢いで戻ろうとします。
身体にもエネルギー保存の法則が成り立つのです。
身体を強い圧力で押したら、その分、身体からも同じ強さで反発が起きます。これがわからないと揉み返しが起きてしまいます。
身体に余計なエネルギーを使わせてしまうのです。
身体に負担のない施術、クセを変えるのではなく活かす施術、導く施術を私は目指しています。

ある日、男性からサロンの私宛てに電話がありました。
“河田先生〜、そろそろ施術受けたいんだけど、いつ行ったほうがいいかな〜??”
もう、友達のような間柄だったのを思い出します☺
でも私はそれが嬉しいのです。
もちろんセラピストとクライアントの関係こそ変わらないですが、見えないところでその垣根を超え、心が触れ合う瞬間が、いつも私にセラピストを続ける理由を与えてくれるのです。
Tot ziens x