Stories No.15
日本で働いていたときのはなし。
前店長から引き継がせて頂いたお客さんを診させてもらったときに思ったこと。
中学生の女の子とそのお母さんが来店され、お母さんが深刻そうな面持ちで娘さんの症状について話し始めます。
中学生の女の子は重度の側弯症をかかえていました。
医者にも行って、今以上に背骨が曲がってしまうと、手術をしなければならないから、そうならないように娘さんは普段から装具を付けて生活を強いられているようでした。
お母さんの娘さんの状態を良くしたいという思いがひしひしと伝わってきます。前店長が担当だったときも、施術後の背骨は、真っ直ぐに近づいては戻り…の繰り返しだったそうです。
前店長から引き継ぐときに、ある程度身体の状態を知らされてはいましたが、私が初めて身体を診させてもらうときに違和感を感じます。
お店に来るとすぐさま、娘さんの口からではなく、お母さんが必死に状態を説明するのです。よくある光景だとは思うのですが、施術をしてみると、娘さんはちゃんと会話もできるし、しっかり話しができるのにも関わらず、お母さんが前に出でしまい、お母さんと一緒のときの彼女は自分のことを話す機会を失ってしまっているように感じました。
どうやら、娘さん本人は、装具を付けて生活するのが嫌みたいでした。
しかし、お母さんが、これ以上悪くならないようにしっかり付けようね、と説得されているのを何度か耳にしたことがありました。
人の身体の構成(骨、筋肉)はみんな同じですが、本質的に人それぞれ身体は違います。その人の生活の仕方や、自分の体に対する感性、どのように自分の身体を使っているかという後天的な生活習慣が、先天的に持っている身体の特質を良くも、悪くもするのです。
不思議に思うのは、背骨のアライメントが崩れているのにも関わらず、痛みを訴えない方がいたり、アライメントが整っているのにも関わらず、痛みを訴える方がいるということです。
すべてがあてはまるわけではないですが、思い込みや精神的な状態が身体の状態を左右しているなと感じることがあるのです。
側弯症の80%は原因があまりよくわかっていないようです。
その中でも原因といわれているものは、
·精神的ストレス
·子供の頃に厳しく躾けられたり叱られたりした
・親から暴力をうけた
・子供の頃いじめにあった
・慢性的な長距離の運転
・睡眠不足などの悪い生活習慣
・食生活(特に食べ過ぎは腰椎の捻れの原因)
・テニスやゴルフ等の左右非対称のスポーツを長年続けること
・利き手や利き足の使い方
・交通事故
この子にももしかしたら当てはまることがあるのではないか、と思いました。
私の愛読書から↓↓
子供は、いかに自分が精神的に辛い状況であるかとしたいうことを、自分の身体を壊しながら訴え、そして、その訴えを聞き出してくれる人を探しているのです。ですから、そういった子供の場合は、親との精神的な疎通を深めることにより、身体を変えてゆくことができ、心も解放してゆくことができるのです。子供にとって、親は最大の支えなのです。その支えに裏切られたときに、子供は自分の身体を自ら硬直させてゆくのです。
この世には、親になる資格なんていうのはありませんし、子育ての正解も特にありません。親としての責任とはいったい何なんでしょう?モンスターペアレンツなんていう言葉も出てきた今の時代に、私達は何を見直すべきなのでしょう?
私自身、子供はいないので、子供を持つ親御さんの気持ちや大変さなんていうのは、1%もわからないのかもしれません。
しかし、今後もし子供を持つ機会に恵まれるとするならば…今後、子供たちの未来に何を残していけるのかを考えるのならば、このようにシェアをする機会は無駄ではないと思うのです。
最後にまた愛読書から↓↓
子供が自分の体の身体感覚を養っていく、その大きな役割りを担っているのは、親に抱かれるという行為だと思っています。子供は抱かれるときに、ただ単に親の胸や背中にひっついているわけではないのです。子供は、抱かれたりおんぶされたりすることによって、無意識のうちに自分の体の重心である腰というものの感覚を養っているのです。また、親に抱かれることによって、自分の体、例えば、自分の頭、胸、手や足が、当然親の肌に触れ、その触れてゆくことで、自分の体をより多く感じとってゆくのです。
人との距離感、自分の体に対する自己感覚、そういったまさしく身体感覚というものが、現代の若者に希薄になってきている。まだまだ首がすわらないうちから、ベビーカーに乗せてガンガン揺らしていたり、自分の子供なのにオムツを取り替えることが億劫な母親が多いのです。当然、そんな親は自分の子供を抱いてみて、今日は重いとか軽いとか、触ってみて熱いとか、汗をかいているとか感じることをせずに、すべて医者任せ、他人任せにしてしまうのです。そのようにして育てられた子供の身体感覚は、よく触られて育った子供と比べて、かなり鈍いものとなってしまうでしょう。
オーストラリア、オランダと国をまたいで過ごしてきた私が思うこととして、きっとこれは、子供だけに限らず大人になってからも、肌の触れ合いや、愛情たっぷりのハグは必要だということ。
日本にもハグ文化は浸透して欲しいです。
Tot ziens!