Stories No.16 ～セラピストをずっとやっていきたいと思えた。はじめてのリピーター～

 

 

私が入社して間もない、地獄のような研修を終え店舗に配属されたときの頃のはなし。

 

あれは忘れもしない夏の暑い日、モデルさんのように綺麗で素敵な女性が新規のリフレクソロジーの60分コースを希望して入店されました。彼女は女性指名で、たまたまその日は女性スタッフが私しかいなかったのもあり、私が担当することになりました。

 

誰もが羨むようなスタイルをしていらっしゃったので、悩みなんかないんだろうなと思いながら色々と話を伺っていくと、ひどい偏頭痛をお持ちであったり、繊細な肌質の持ち主で不調をたくさん抱えていたりしたので、今回はリフレクソロジーコースだけでしたが、研修で教わったトークを駆使して、骨格調整のコースをおすすめしたところ、次回はそのコースでご予約を頂くことができました。

 

入社してから研修をしっかりやったものの、まだまだ経験の少ない私は、店舗のベテランスタッフにも研修をしていただき、自分でも知識を増やしていきました。とはいっても、常に不安でいっぱいでした。

 

そして前回のお客さんの予約してくれた日を迎えます。

 

その方は定刻に来てくださいました。緊張しながらも一生懸命に身体の説明をしました。
手が震え、汗だくになりました。

口下手で何度もつっかえたりしましたが、その方はしっかりと話を聞いて、理解してくださいました。そして、次回も予約をしてくれたのです。すごく嬉しかった。

 

それから、週1回来てくださり、回を重ねるごとに状態もよくなり、色々なお話もして仲も深まっていきました。

私にとってははじめてのリピーターさんだったので、思い入れは強く、毎回緊張はしたものの、彼女とお会いできるのがいつも楽しみでした。

彼女の身体を良くしたいという一心で施術をしていました。

 

ある日、彼女はオイルトリートメントも好きだということを話してくれます。
ちょうどその頃、会社で禅整圧と呼ばれるオイルトリートメントの研修スタッフの募集をしていました。

私は技術を習得して、彼女に受けてもらいたいと思ったのと、お店にも貢献したいのと、自分の成長のために研修を受けることに決めたのです。

研修は大変でしたが、楽しくもあり、お客さんに喜んでもらいたい一心でがんばりました。

そして、ついにオイルトリートメントが会社のメニューとして加わり、そのお客さんに早速、告知をし、待ってましたと言わんばかりに施術を受けて頂きました。

緊張しましたが、大変満足して頂きました。全国の色々なところの高級エステやスパのトリートメントを受けている方でしたが、河田さんの指は奇跡と言って頂けました。

そんな方にこのようなことを言って頂けて何より嬉しかったし、自信になりました。施術家としての成長も感じました。

 

月日は流れ、この方と初めてお会いしてから2年が経ち、サロンに来て頂いた回数も45回を越えてもうすぐ、ロイヤルカスタマー(50回を越えると特別な会員さんになる)になるというところでした。

 

 

私の異動が決まったのです…

 

それを伝えるととても残念そうでしたが、異動ギリギリまで来て頂き、異動前最後のご来店で50回を迎え、晴れてロイヤルカスタマーになって頂きました。

私にとって初めてのロイヤルカスタマーが初めてリピーターになってくれた方だったのです。

 

入社して間もない、経験が少なく未熟だった私をこのお客様をはじめとするたくさんのお客様を通じて、自分自身を見つめる機会をも頂き、少しずつ成長することができました。

 

ここまで来るのには身体が辛くて何度も辞めようと思ったことがありましたが、お客様と共に感動を味わえるこの仕事に使命感を覚えました。

 

異動の際には、たくさんのお客様から手紙や餞別を頂きました。

 

そして、私にとって、初めてのリピーターとなった彼女には手紙とギフトを頂きました。

その手紙の内容で、　

「たまたま入店したのに、こんなに長く通うとは思っていませんでした。私は本当に気に入らないと同じお店にはなかなか通うことができないので。ここまで通うことができたのはあなたのおかげです。素直な人柄、やさしさ、向上心、誠実さ、河田さんの人間性すべてが私は大好きです」

と書かれていました。私は嬉しさのあまり泣いてしまいました。

この仕事をしていて良かったと思えた最高の瞬間であったのと同時に、この仕事を続けようと思えた瞬間でもありました。

 

この方とは退職してからも連絡をくださいます。

オーストラリアに行く前や帰国したときに食事に招待してくださいました。

 

オーストラリアにいるとき、私の誕生日に手紙とハンドメイドのアクセサリーを送ってくれたこともありました。

オランダで、個人事業主になったことも報告できました！

 

素敵な物語をありがとう！

 

Tot ziens!